明け方、綾女はまどろんでいた。そんな綾女の髪を左近は指ですいている。ふたりの胸元や背中にはお互いにつけた印がいくつかついている。
「さこ・・ん」
呟く唇。いつかはこうなることを願っていた左近だったが、実際に肌を合わせると綾女は柔らかく反応した。蘭丸との出来事でナイーブになっている綾女を、左近は繰り返し慰めた。その流れでこうなってしまったが、左近は時期尚早とは思わなかった。
長い睫が細かく震え、ゆっくりと開いた瞳に綾女は左近を映した。
「痛むか?」
気遣う左近に綾女は少し微笑んで首を振った。そんな綾女が愛おしくて、ゆっくりと唇を重ねる。
その様子を蘭丸は気配で感じ取っていた。
「やれやれ。左近のやつ、ここまでお膳立てしないと前に進めなかったな。それにしても、綾女の反撃はすごかった」
息が止まるほどの蹴りを入れられ、蘭丸は息も絶え絶えに自室に引き上げた。
「もうこんなことはごめんだ。左近、綾女をしっかり捕まえていろよ」
ギクシャクと歩きながら蘭丸はひそかにエールをふたりに送るのであった。
- あの時代
- 105 view
この記事へのコメントはありません。