ぴちゃ・・ん・・
山の奥深く、猟師もそう入らないような場所の淵で、白い体が浮かび上がった。
流れるような黒髪が背中にまとわりついている。
誰もその姿を見るものはいない。
ただ、月だけが照らしている。
月に照らされた体は透けるように白さが増し、滴がつ・・と伝った。
ふと誰かに見られているような感覚を覚え、女は体をすくめる。
けれどそこにあるのは静かな月の光と、一陣の風のみ。
女は月を見上げた。
今は風となった男の名を、そっと呟く。
あの時と同じ月が、変わらずに天にかかっている。
あの月と同じように、想いは永遠に変わらない。
風は柔らかくなり、愛おしそうに女を抱きしめた。
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