背の高い、ショートヘアの人物が大学のロビーで人待ち顔で立っている。
「綾女」
綾女が振り返ると蘭丸がいた。
「蘭丸」
「左近に会いに来たのか」
「うん」
「もうじき来るよ。さっき向こうにいたから」
「蘭丸は講義?」
「そうだよ。歴史なんてわかりすぎているのに出席しなきゃ単位が取れないんだよな。まったく新入生は忙しい」
綾女の肩にポンと手を置いて、蘭丸は歩いていった。
綾女は周りを見回したが左近の気配すらない。また周りにいた学生も講義が始まるのか、少なくなっていった。
「時間間違えたかな」
メールを確認すると、日時と場所も合っていた。約束の時間を20分過ぎた。
「綾女」
遠くから左近が走ってきた。速い。
「悪いな、待たせた」
息も乱さず平然とした顔をしている。軽く綾女にキスをする。
「な、なにを」
いきなりで心の準備が出来ていなかった綾女は左近を見つめる。
「ん?もっとしてほしいのか?」
「ちがうっ。クリスマス以来なんだから、久しぶりーとか元気そうだねーとか、先に言うことがあるでしょ」
左近は苦笑した。まったく、生真面目な奴だ。お友達じゃあるまいし。
「久しぶりだな、元気だったか?」
「うん、元気だよ。これでいいのよ」
「じゃあ、ご褒美・・」
左近は言いながら深く唇を重ねる。いつもより時間をかけて綾女の唇を味わった。
「だめよ左近、ん・・」
抗おうとする綾女の唇がふさがれる。
「今はこれくらいにしておこう」
ポーカーフェイスの左近。対する綾女は顔を赤くし、展開の速さにくらくらしていた。
- 現代版
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