「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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冬物語7

黙って窓を見ている左近の視線を追う。
白く曇った窓ガラスの向こうに、何か白いものが見えた。
「あ」
綾女が立ち上がり、寒い中窓を開けた。
「雪よ、雪」
「本当だな」
ちらちらと舞う雪。綾女が差し出した手の上に乗ると、ゆっくり溶けていった。
溶けていく雪に左近は自分のようだと思った。
綾女の手の上で、ゆっくり溶けていく頑なな心。それを綾女はゆっくり包み込んでくれる。
「寒い」
綾女は窓を閉めた。コタツに入るもなかなか温まらない。暖房の暖かさは逃げていってしまった。左近が綾女の隣に来る。肩を抱き寄せると綾女は擦り寄った。
「左近、あったかいね」
「綾女も」
「そうだ、今日はイブだ」
唐突に綾女が起き上がる。
「何を今更」
「だって、昨日まで勉強漬けで何も用意していないのよ。冷蔵庫のものは昨日使ったし。お買い物に行こう」
綾女はしゃべりながらてきぱきと支度をし、左近を振り向く。すでにコートにマフラーまでしている。左近はのっそりとコタツから出た。コートを羽織る。
外に出ると寒かった。綾女はしっかり手袋もはめ、帽子をかぶる。完全防備。
左近も手袋をはめた。
「お夕飯、なんにしようか」
スーパーで棚を覗き込みながら食材を選んでいる。去年と同じ風景。
「左近は赤ワインも好きよね。そうすると、チーズフォンデュがいいかな。じゃあパンとソーセージと・・・」
かごにどんどん入っていく。
「ケーキだけは作る!」
言い張る綾女をなだめつつ、ケーキも買った。綾女は1回の買い物量がとにかく多い。手作りにこだわるせいもあるが、かわいいものについ手が伸びてしまう。今も30cmくらいのツリーを手にとって眺めている。
「それも買っていいよ」
「よかった〜〜」
チーズフォンデュの器具も買ったので、たいそうな荷物になってしまった。

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