翌朝早く、左近は目を覚ました。
見慣れない天井に一瞬違和感を感じたが、胸元で眠る暖かい存在に喜びを感じた。
清楚な顔立ちの綾女は、とても夕べ左近と情を交わした女性とは思えないほどだった。安らかにまどろみの中にいる。
こういう時間が欲しかった。ずっと探していた女性にやっと出会え、愛し合う。できればこのまま、人生の伴侶として迎えたい。
初めて出会ったあの時代では考えられない暖かさ。
今だからこそ、この暖かさを守りたかった。
左近はそっと起き出した。布団がめくれ、シーツの上に敷いていたバスタオルに赤いものが見えた。
「?」
よく見るとそれは血痕だった。左近は察した。
綾女は痛みに耐え、左近を受け入れたに違いない。それでも痛みなどないように左近に気を遣い、甘い声を上げていたのだ。
「すまんな、綾女・・」
左近は綾女の髪を優しく撫でた。
セットしておいたモーニングコールが鳴る。
綾女は飛び起き、受話器を手に取り、耳に当てた。
「あ、そっか・・」
ゆっくり受話器を戻す。
「どうした?」
綾女は困ったような笑いを浮かべた。
「この音、当直の時の電話と一緒の音なのよ。条件反射ね」
そして左近が裸なのをじっと見ていた。そして自分の姿を見、驚いた声を上げて布団の中にもぐった。
「もうやだ、何よこれ?」
「いやだって、昨日したからだろ?」
「ああもう、恥ずかしいっ」
綾女は当分布団から出てきそうもなかった。無理もない、初めて男性に体を見られて愛されたのだから。
左近は洗面所に行き、身なりを整えた。その間に綾女も服を着ている。
- 現代版
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相手に気付かれないように思いやる二人が素敵ですね。
お互いに素直に求めあい、愛を確かめあう姿をみて、私も幸せです♪
原作から20年で、私の望みがたくさん叶いました。有難うございます☆
原作から20年。もうそんなに経つんですね。
それでも色褪せずに心に残っているものなのですね。