やっととれた久しぶりのお休み。
綾女はゆっくりとした朝を迎えていた。
「んふふ・・」
布団の温もりが嬉しい季節。綾女は幸せそうに微笑む。
「かわいいな」
聞き覚えのある声に、綾女はすっかり覚醒した。声のした方に寝返りを打つと、ベッドサイドで頬杖をついた左近が微笑んでいた。
「どうして、そこにいるのよ」
綾女はさほど広くないがベッド上で後ずさった。現れた体を左近が眺める。
「へぇ、そういう格好で寝ているんだ」
大き目のTシャツから肩が少し見えている。綾女は慌てて肩のずれを直した。
「それより、どこから入ったの?」
「無用心だな、ベランダが開いていたぞ」
「うそっ」
「ホント・・・」
ベッドがきしんだ。綾女の長い髪を左近の指が梳いていく。その指を綾女はそっと止めた。左近の指はひんやりとしており、その服はしっとりと濡れていた。
「やだ、こんなに濡れて。風邪ひくわ」
上着を脱がせ、ホットコーヒーを淹れて左近に渡す。
「サンキュ」
「ううん」
左近は綾女をそっと抱きしめた。綾女も嬉しそうに頬をすり寄せる。
「綾女」
左近の低く甘い声が綾女の耳元で響く。その声は媚薬のように綾女を甘く溶かしてしまう。
「左近・・」
綾女の声は、綾女同様、左近にも同じ効果をもたらすものだった。
やがてどちらからともなく唇が重ね合わされた。
外は雨。だが温かい雨だった。
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