雨音が障子の向こうから聞こえてきた。
布団の上に緩やかに黒髪が広がっている。
その黒髪の主は今、穏やかに寝息を立てている。
顔にかかる髪をどかすと、まだあどけなさが残る寝顔が見えた。
「なに・・?」
寝ぼけたような声。薄く目を開けて俺を見る。
「眠いのか」
「・・ん」
またその目は閉じてしまい、規則正しい寝息を立てはじめた。
すっかり目が覚めてしまった俺は、ついちょっかいを出したくなる。
乱れた夜着から見える、背中や肩にそっと紅い華を咲かせてみる。
「や・・」
綾女が起きた。
「寝かせて・・」
「起きろよ」
綾女の全身を愛撫すると、しばらくしないうちに甘い声になる。
「そんなに激しかったか?」
「もう、そんなこと言わないの。お願いだから寝かせて」
仕方ない・・な。
俺はふっと苦笑すると綾女を解放した。
雨の日はいつもこうだ。
安土での戦いが終わって、俺とこういう関係になってからは特にそうだ。
俺のせいだといつも綾女は言うが、積年の想いはそう簡単に解消できないだろう。
そろそろ雨もやみそうだ。
それまで、綾女のまどろみを大事にしてあげよう。
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