「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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七夕

今年も七夕の季節になった。
子供がいる家では、幼稚園やらで作ったような笹飾りが玄関に立てかけられる。
隣の子はテルテル坊主までご丁寧につるしてある。
「なんでテルテル坊主なんだ?」
可愛らしい幼稚園児、桔梗。こいつはおませで生意気なクソガキだ。
そう、聞いた今も顔を斜めに上げて俺を見上げた。
「べつに〜。左近のためじゃないもん。アタシのためだもん」
かっわいくねぇっ!前言撤回!
七夕はこいつの誕生日でもある。留学中の綾女は毎年この時期に帰ってくる。でも今年で別々の生活は終わりだ。嬉しいぜっ。
それに今年は桔梗と約束してあるそうだ。なんでも、おそろいの浴衣を着るんだそうだ。
「浴衣が雨に濡れたら台無しでしょ。だからつるしているの。まったく左近は女心がわからないんだから」
幼稚園児にそこまで言われたくない。
でも綾女の浴衣姿・・・色っぽいだろうな。
「ただいま〜〜」
待ちに待った綾女の帰宅。ポニーテールにジーンズ姿。1年ぶりの再会に俺は熱い抱擁・・と腕を出したが
「あー、忙しい忙しい。お隣何時からだっけ。荷物ほどいてシャワー浴びて浴衣着なきゃ」
と、自分の世界に入ってしまった。手馴れた仕草であっという間に荷物は片付けられる。そしてシャワー。
「覗かないでよ」
釘を刺され、綾女は浴衣を着始めた。
「お待たせ」
やがて出てきた綾女に俺は言葉を失ってしまった。
黒髪を纏め上げ、めったに見せないうなじが色っぽい。少し襟を抜いて粋な感じをかもし出している。紺地を染め抜いた夏草の模様。落ち着いたイメージだが、それを着る綾女がまた引き立っている。薄くメイクをし、俺の前で少し恥ずかしげに笑った。
「あんまり見ないでよ・・」
「きれいだよ」
「ふふ・・ありがとう」
お土産を持って隣の家にお邪魔する。
「わぁ、綾女ちゃんすっごくきれい」
おそろいの浴衣を着た桔梗。まぁまぁ可愛いが、所詮幼稚園児。綾女にまとわりついて離れない。
「桔梗ちゃんも来年は小学校ね」
ケーキのろうそくを吹き消した桔梗に綾女が声をかけた。
「うん、そうだよ。綾女ちゃんみたいに大きくなったら留学できるようにお勉強頑張るんだ」
「ほ〜、せいぜい頑張りな」
「ふーんだ、左近に言われなくても頑張るよ」
そのうちお子様は綾女と数枚写真を撮っていたが、寝てしまった。
「桔梗ちゃん寝てしまいましたね。私たちもそろそろお暇します。お招きありがとうございました」
「綾女ちゃんも今日帰ってきたばかりなのに悪かったね。ゆっくり休みなさいよ」
桔梗の両親が玄関まで送ってくれ、俺は綾女と外に出た。
「あ・・」
綾女の声につられて俺も空を見上げる。
数年ぶりに七夕の空は晴れていた。天の川が見える。
「桔梗のテルテル坊主だな」
「え?」
俺は七夕飾りを指差した。
「あ、ほんとだ。桔梗ちゃんに感謝しなきゃね」
「そうだな」
空を見上げる綾女があまりにもきれいで、俺はただ見つめていた。

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