「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. 時を超えた絆
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筆1

「いい天気だなぁ」
窓からは安土山が見える。少し前まで花見の客でにぎわっていたが、今は静かなものだ。
「先生、早く書いてください」
最愛の女性が怒った顔をして左近を見ている。怒った顔も可愛い。
「まぁまぁ、一休み」
左近は魅力的な笑みを女性に向けたが、それは火に油を注ぐ結果になった。
「休みが長すぎます。書いている時の方が一休みのような感じです」
そして脱力。
「左近、本当に書いてくれないと、私たちの生活が干上がるのよ」
妖刀の力で不老不死になってしまったふたり、綾女と左近。
今までの奇譚を記録に残していく作業・・・それを左近がやると言い放ったのだ。左近の細い長い指がキーボードを叩き、(時々は綾女をからかい)、サイトを作り、話を載せていくとじわじわとアクセスが増えていった。そして書籍化することになり、出版社に勤めている綾女が担当編集者となったのだ。
「左近の本が私のお給料に響くのよ。気を入れてよ」
「でも米も味噌もあるだろう」
「切れそうよ」
「醤油は」
「切れたわよ・・」
「切れないものはあるのか」
「包丁が切れないわよ!」
ぷっと左近が笑った。逆に綾女はメラメラと怒りが燃え上がる。
「あったあった、そんな古典落語。でも綾女」
急に真剣な顔になる左近に綾女はドキッとした。
「切れないもの、あるだろう?」
「え?」
「俺とお前の、絆」
綾女はとたんに真っ赤になった。怒っても照れても真っ赤。左近はそんな綾女が愛おしかった。
「も、もう、左近たら!そんなことを言う間に何か書きなさいよ。私一度会社に戻るから」
綾女がそそくさと出て行くのを見送って、左近は表情を改めた。
「さて、書くか」

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