「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

  1. あの時代
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危機一髪

「よーしよし、ちゃんと糸張っていろよ」
俺のもろ好みの女が妖魔の糸にかかり、すぐそこで大の字になって浮いている。女は影忍だが、所詮、手足を拘束されては動きが取れない。
場所は二王門。
影忍どもは安土襲撃を企んでいた。
でもあの妖刀がなければただのヒトだ。
「寄るなっ」
女は嫌悪の表情で悪態をつきまくる。所詮は負け犬の遠吠え。
つう…。
俺は女の顔を撫で上げた。女はまっすぐに俺を見据え、睨んでいる。俺は女の背中に手を回し、先ほど刺した手裏剣を引き抜いた。
「くっ」
一瞬、痛みに女の顔がゆがむ。俺は手裏剣を女の喉もとに当てた。
「いい顔だ」
女は憎々しげに俺を睨み返す。俺は手裏剣をもつ手に少し力を入れた。喉もとから一筋の血が流れた。けれど女はそのまま俺を睨んでいる。
「このままお前の命を奪うことはわけないことだ。それが嫌なら俺の女になれ」
女は唇を引き締めたまま、一言も発しなかった。
「強情な奴だ。だがそれも一興」
俺は女の身体を撫ではじめた。声を出さないように唇をかみ締める女。
その時、背後に恐ろしいほどの殺気を感じた。
「おのれ・・綾女に何をする」
男が太刀を構えている。お面もかなぐり捨てて殺意バリバリに俺を睨んでいる。嫉妬もものすごいものだ。
“俺もまだ触っていないのに!”
その気がものすごい。
「左近!」
女の声に、男の殺気が燃え盛る。
ヤレヤレ。
俺はため息をつき、隙を男に見せると男は切りかかってきた。
「笑止」
軽く身をかわし、槍で男の腹を突き刺す・・はずがそこに男はいなかった。
「綾女!」
糸をぶった切り、女を抱きしめている。
「馬鹿、左近、あいつを倒すのが先だろう、離せ」
パン!
はーあっ
俺は大きくため息をついた。男は俺より女かよ。女のほうがよっぽど冷静だな。でもまあいい、ふたりまとめて串刺しにしてやろう。
女がすたすたと歩いてきた。怒っている顔だ。
パシーン!
小気味いい音が炸裂し、俺は頬を押さえて横座りになってしまった。ふと男を見ると、同じ姿になっている。
「まったくもう、男ってこれだから嫌い!」
女はプリプリ怒りながら先へ進んでいった。残されたのは頬を押さえて横座りになっている俺と、男だけ。
お互いに戦意は失せ、のろのろと立ち上がる。
「女は、強いな」
「まことに」
俺も男もため息をついて、別方向へ立ち去った。

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コメント

    • おりぼん
    • 2008年 4月 15日 10:11am

     こんにちわ、おりぼんです。
     先日の「情状酌量」も良かったですが、喜平次いいですね(笑
     私もこっそり好きです。
     左近と仲良くできそうなキャラだと思っていました・・・敵でなければ。
     うふふ。楽しいお話、ありがとうございました。

      • 紅梅
      • 2008年 4月 15日 11:41am

      初めて喜平次を見たとき、私は左近と混同しました。髪形も似ていますよね。
      綾女をめぐる恋のライバルにちょうどいいかな?

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