「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。

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雨は嫌い。
寂しい気持ちになるから。
窓に流れる雨の粒を眺めながら、私はコーヒーに口をつけた。すでに冷たくなったそれは、私の喉をゆっくりと流れていく。
待ち人はまだ来ない。
ふと目をあげてカウベルの鳴る木のドアを見る。
もう何度繰り返しただろうか。
「ふう・・」
私はため息をついて店を出た。
傘を広げ、歩き始めると遠くからひとり走ってくる姿があった。
傘も差さずに走ってくる。
「ごめん、待たせた」
息も荒く、濡れた前髪をかきあげる。私は傘を差しかけた。
「だいぶ濡れちゃったね」
もっていたハンカチで彼の髪や体を拭く。
濡れた髪から彼の匂いがした。
「いいよ、これだけ濡れていたらハンカチがもったいないよ」
「でも・・」
彼は先に歩き始めた。私が傘を持って追いかける。
「どこに行くの・・?」
その晩。
まだ降り止まない雨の音を聞きながら、私は思った。
こういう雨の日ならあっていいかもしれない、と。
彼の腕の中で。

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