6月15日。
影忍たちが安土城に殴り込みをかける日。
「喜平次は二王門で待機」
蘭丸にそう言われ、まずまずのポジションに満足した。
あとは影忍が来るのを待つのみ。
ふぁ・・・
何度目かのあくびをする。
「来ないな」
影忍の奴、日付を間違えたのかな。その時二王門の外でつむじ風が起こった。
「来たか」
屋根の上にバック宙返りで飛び乗ってくる。どう見ても女。それも俺好みのいい女だ。こいつが影忍とは、惜しい。小太刀を自在に操るが俺に到底敵うわけがない。早く終わらせて口説・・・。
「てやっ」
狐の面をかぶった俺よりは劣るがいい男が割り込んできた。何だよこいつ、こいつも影忍か。
「ふっ」
女を庇って俺と勝負か。久しぶりに本気を出すか。
「先に行け、綾之介」
なに格好つけてんだか。こいつの剣は迷いだらけだ。あの女に告白して振られても未練たっぷりということがよくわかる。でも一瞬からませた視線。そのからみかたはラブラブそのものだった。
くっそー、俺の出る幕無しかよ。
「たく・・やる気失せたぜ」
俺は槍を放り出した。男が不審げに覗き込む。
「行った行った。俺が後ろ向いているうちにさっさと女のところに行きなよ」
「いいのか?」
男の腰が浮わついている。俺は手で追い払う真似をした。男は一礼して女を追っていった。
ここにいてももう用はない。俺は戦いを放棄して山を降りていった。
俺ともあろうものが、敵に情けをかけるなんてな。
後日俺は蘭丸におしり100叩きの罰を食らい、しばらく座れなかった。
- あの時代
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喜平次のこんなおちゃめなお話を読むことができるとは思いませんでした!
‘俺よりは劣るが’太文字なのに思わず笑ってしまいました~。
原作だと左近に致命傷を負わせる悪役なので好きじゃなかったのですが、こんな喜平次なら大歓迎!! そうですよねー 槍を放り出してしまえば皆幸せになれたのに^^
楽しいお話を読むことができ、今日はよく眠れそうです☆ おやすみなさい。
原作では悪役だけど、こういうのもアリかな、と思い書いてみました。
喜平次はあのメイクでなければ、結構イケていると思うのは私だけかなぁ。