「炎情」は、妖刀伝二次小説サイトです。 綾女と左近の、本編でのあの別れに納得できなくて、色々な妄想を膨らませ、ちりばめています。
雨音が障子の向こうから聞こえてきた。布団の上に緩やかに黒髪が広がっている。その黒髪の主は今、穏やかに寝息を立てている。顔にかかる髪をどかすと、まだあどけな…
夕べから降り積もった雪は、すっかりあちこちを覆い尽くしていた。里の子供たちが庭先に飛び出し、雪合戦をはじめている。「はうっ、ゆき」あぐらをかいた左近の膝に…
昨日のような出来事なのに。左近の熱い体がゆっくり離れる。優しい瞳。「綾女」愛おしい声。左近の唇がそっと重なり、綾女はうっとりと目を閉じた。安土襲撃前…
サクサク、サクサク積もった雪の上を、左近は歩いていた。すっかり夜中になってしまった。何度か自宅から携帯に電話があったが、出ることもできないまま途切れた。…
私は誰かを待っている。ずっと遠くの誰かを待っている。幼い頃からその気持ちはあった。どこの誰だかはわからない。けれど、会ったらすぐにわかりそう、その確信は…
「本当の名はなんと言うのだ」「・・綾女。香澄の綾女」伊賀で左近が綾女の名を聞いた。帰ってきた答えに左近の記憶が蘇る。あれは・・もう10年ほども前になる。…
「何よ、もう」少しふくれっつらをした綾女。夕暮れの海岸で波と戯れている。「左近も一緒にどう?」綾女のすくった水が俺にかかり、俺はよろける。「何をするんだ…
「左近・・・」綾女の腕の中で左近は次第に冷たくなっていく。はずだった。何の因果か左近は奇跡的に命を取り留めていた。それはきっと、綾女に対する想いが強かっ…
梅雨の晴れ間とはいえ、すでに陽射しは夏そのもの。「6月15日か…。自分の命日に生きているなんて不思議な話だ」左近は綾女に買い物を頼まれ、賑わうスーパーに来て…
今年も七夕の季節になった。子供がいる家では、幼稚園やらで作ったような笹飾りが玄関に立てかけられる。隣の子はテルテル坊主までご丁寧につるしてある。「な…
「あれ?この桜だけ花が散っているね」「他の桜はまだなのに」花見に来た観光客が、口々にそう言いながら、桜の下を通り過ぎていく。仕事をしながら左近は、夕べの綾…
翌日。「こんにちは。お願いします」「あらいらっしゃい。左近さんも?」「ええまぁ、あはははははは」一瞬曇った表情をした桔梗だが、営業スマイルにささ…
葉隠れの里まで、普段ならあと1日というところまで進んでいた。「頭・・痛い・・」ガンガンする頭と気持ち悪さで綾女はしばし休んでいる。花冷えで1週間ほど冬に戻…
翌晩。龍馬は蘭丸とともに冥府魔道に落ち、妖刀のひとつが消えた。左近は疲れきっていた。大きな外傷はないものの、妖刀の力を出しすぎたのか、体がきしみ、痛む。「…
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